デザイナーじゃなくても、デザインで人を責めない仕組みを創る
「デザイン」の語源は、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現すること、と書かれています。
Wikipedia デザイン(英語:design)
繰り返された犯人探し
おさだ工業所では、よく工具をなくしていました。
例えば現場作業のために社外へ工具を持ちだし、そのままトラックの中に置きっぱなしになることがたまにあったりします。
その度に「この工具、誰がこんなところに置いたんや!」と犯人探しがはじまっていました。
なにか問題が起こった時、犯人探し、魔女狩りをしただけでは解決しないです。
人が悪いのではなく、デザインが悪いんだという考え方に、最近会社全体が変わってきたように感じます。
例えば鉄の材料に穴を開ける工具、キリの置く場所は今までこのような状態でした。
この状態では一部のキリしか分類されていません。
以前、このように置き方を変えました。
その場所に自然と戻したくなるような「デザイン=仕組み」を生み出せるような人間が集まる会社にしていきたいです。
ソーシャルデザインとは
先ほどの話は目の前の身近な問題でしたが・・・
世の中には、社会(ソーシャル)問題の不満を「自分ごと」として「デザイン=仕組み」を変えて解決していこうとする人たちがいます。
この本にはそのような、「自分の周りをよりよいものにしたい」という気持ちから、ちょっとしたアイデアで社会問題を解決した事例が並んでます。
毎日の暮らしも世界の問題も、たったひとつの思いつきで「楽しく」変えられる。おばあちゃんを元気にするニットブランド、街を賑わす「うわさ」の貼り紙。月間読者12万人のウェブマガジンを営むグリーンズが、社会を変えた伝説のアイデアを世界中から紹介。
わたしは特に「1枚のチラシと、パンダのキグルミを着た2人組だけ」で28万人というたくさんの人間に向けて、WWFの環境に関するPRができた事例に驚きました。
視点を変えて、相手の立場を想像して、行動する。
そんなカンタンなアイデアひとつでこんなに大きな影響力を創りだせるんだ・・・と。
仕組みを創りだす側の人間へ
なにかうまくいかない時、失敗した時、極端に言えば不祥事を起こした時。
とにかく誰かを犯人というポジションに据え「はい、あいつがやったなら、もうしょうがないね」と終わらせようとします。
そのほうが表面上おさまりが良く、ストレスをその犯人にぶつけることで胸がスッとなるからです。
しかし、これは本当には解決していないので、事件は繰り返されます。
ヒトが悪いのではなく、あくまでそういう仕組みが、デザインが悪いと考えることが正解でしょう。
どんな性格の人でも、どんな価値観の人でも、どうやってもそうなってしまうような「ソーシャルデザイン」の考えは、小規模企業の製造業者にとって、これから必須です。
「人を責めるだけの人間」じゃなく「仕組みを創りだす側の人間」に。
なにもデザイナーじゃないからデザインは関係ないのではない。
工場での作業がしやすく、人に罪を作らせないデザインといった、身近なところを思考できる集団を目指します。
Teruyuki Kobayashi
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