はるえ「でんすけ」とは?もともとは人の名前じゃなくて、単なる掛け声だった
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福井県坂井市春江町に住み暮らしながら、地元の結構大きなイベント「はるえイッチョライでんすけ祭り」の「でんすけ」の意味を知らずに、今まで生きてきました。
春江町の伝統民謡踊りの「はるえでんすけ」から来ていることはなんとなくわかるのですが、なぜ「でんすけ」なの?それ誰?
たぶん春江町に住んでいる若い方とかは知らない人が多そうなので、今回の夏祭りの間に「でんすけ保存会」の方々にインタビューをしてみると、このような話が聴けました。
もともと人の名前ではなかった!
福井県坂井市春江町はその昔、耕作地域だった春江村で働く人々は耕作中心でしたが、農業の閑散期には絹織物業を営む兼業農家が多かったそうです。
そんななか、あるとき大雨により近くの九頭竜川が氾濫し、洪水がおこりました。
その洪水により、大きな鮭(しゃけ)がたくさん耕作地域に流れ出し、春江村の農民たちは、こぞってその大きな鮭を釣り上げよう、ということになったのでした。
そのときの掛け声が「でっけー(でっかい)しゃーけ(しゃけ)どっこいしょー!」。
「でっけーしゃーけ!」がなまって「でーんーすーけ」になり、いつの間にか、春江民謡「はるえでんすけ」の中にある掛け声、「でんすけさーん、どっこいしょー!」となったようです。
「でんすけさん」は春江に住む人のこと
そして今から数十年前に、地元の有志があつまり、その掛け声をもとに「でんすけさん」を「田」を「助」けると書いて「田助さん」と設定しました。
それ以降、昔は掛け声でしかなかった「でんすけさん」は、時が変わって「田助さん」という、春江で働く人を表すようになってきた、ということです。
農作物が育つ手伝いをしている春江の人々=「田」んぼを「助」ける「でんすけさん」。
ひいては、
農業では補いきれない収入を絹織物業で助ける春江の人々=農業(田んぼ)を「助」ける「でんすけさん」。
でんすけさんは、ある特定の人物の名前ではなく、この福井県坂井市「春江町に住む人々」一人ひとりのことだったのです。
大洪水のような大事が起こっても、逆にそれを利用し鮭を捕り、掛け声をかけて自ら楽しむ。
困難があっても前向きに再生へと向かう姿勢が本来のわたしたち「でんすけさん」の姿なのかもしれません。
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ネット上をいくら探してもこういったことは書いておらず、「でんすけ保存会」の方に直接お聞きして知ることができました。
まだまだ本当の地方の歴史はネット上には落ちていないものですね。
Teruyuki Kobayashi
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