人生の達人でも人間関係の達人にあらず。年配社員とのつきあいかた
継続王に、おれはなる!0303
「体動かしてナンボ」の鉄工所業界の悩みのひとつに作業員の高齢化があります。
わが長田工業所もご多分に漏れず、ゆるやかではありますが高齢化の波を近くに感じるようになってきました。
先日、経営計画書を作成したときに「肉体労働が厳しくなってきた社員でも出来るような仕事をつくりだす。」という一文を加えております。
「すべての人々に幸せを」という弊社の経営理念から考えると、そういった今まで会社を引っ張ってきてくれた年配社員がなんらかの形でこれからも弊社に貢献できる仕組みを作っていかなければならないと感じています。
そんな中、出会うべくして出会った本がこちら。
著者の会社である加藤製作所では、本来でしたら休みである土日に比較的時間のあるシルバー世代に出勤してもらい、「365日毎日工場稼働」を実現できているそうです。
シルバー社員登用の苦労
こちらの会社では弊社とは違い、作業未経験のシルバー従業員に一から作業を教えていくところから始まります。
想像を絶する苦労があったでしょう。
最初に予想していたとおり、シルバー社員が仕事に慣れるまでには、若手の新入社員の二倍とはいわないまでも、とても時間がかかった。 そして、ほとんどのシルバー社員が共通して苦労していたのは、工場で使う専門用語を覚えることだった。
また、作業台回りの照明器具を近く持ってきて明るくしたり、作業のうっかり漏れをなくすために忘れたら機械でブザーがなるように改善したりと、徹底的に高齢者作業用の工場に変化させていったようです。
人生の達人でも人間関係の達人にあらず
いろんな世代がひとつの職場で働いている以上、作業効率よりも人間関係が重視される部分が多いでしょう。
ぼくは少し前まで経験豊富な先輩職人に対して「人生の先輩なんだから人間関係に関わる、まず言い方を考えてほしい」と考えていました。
しかしこれは甘えた考えでした。
普通の人間は大人になったらそう簡単には変わりません。というか、まず変わろうとしません。
その根本的な事実を見ないようにして「話せばわかって変わってもらえる」と一方的だったように思います。
年配社員は変わらない、自分がまず変わるしかない。
そんな思いを持っていたぼくが今回しっくりきたのは「高齢者は人生の達人でも人間関係の達人にあらず」というこの本の中のフレーズです。
シルバー社員自身にも、「若い者になめられてたまるか」といった自負がある。同時に、「なぜ、こんなことで叱られないといけないのか」と理不尽にも感じるのだろう。
注意されて「すいません」と謝りながらも、内心穏やかではなかったと思う。(中略)その人の性格にもよるが、私自身も、人生の先輩で頑張っている方に対して注意するのは気が引けた。そのときに留意したのは、まずしっかりと相手の言い分を聞くということだった。(中略)
周りの人との相性はあるし、人の好き嫌いはどうしても生じる。しかも若い人に比べると柔軟性に欠けるので、相手を拒絶するときは徹底的に受け入れなかったりもする。
高齢者は尊敬するべきだと思うが、人生の達人だからと過度に期待しないほうがいいだろう。
「子どもと親の関係」だったら一方的に子どもがキレて親にあたることもあるでしょう。
しかし仕事の場面の「大人と大人の関係」では、どこまでいっても他人同士なので、甘えは通用しません。
まず相手の言い分を聞いてその人の人格を尊重しながら、最終的には協力して頂くのが筋でしょう。
とはいってもぼくには人生経験がまだまだ足りません。
すべての人々に幸せを与えていけるような人間になるためにも、日々勉強していきたいと思います。
関連本です。
上に立つ人が頭に入れておくべき人間関係の古典。
Teruyuki Kobayashi
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