長靴問題から考える、人が人を疑う心理
継続王に、おれはなる!0249
従業員10名以下の鉄工所、弊社おさだ工業所では、よく道具などの配置換えなどを行なっております。
とくにたまにしか使わないものの管理がむずかしいです。
これは作業効率を上げるためと同時に、お互い人を疑ったり人を責めたりしないように!といった側面があります。
↑これだけやってもなお、人は人を疑う動物のようです。
長靴って片付かないよねー
弊社の長靴問題を語るには、まず何年か前に遡らなければなりません。
「長靴をはいたねこ」で有名な、足元を雨水から守ってくれる長靴。(この文いらない)
もちろん雨の日には大活躍しますが、普段はそんなに使いませんよね。
昔、長靴をしまっておく場所も決まってなかった時には、休憩所の入口にみんな長靴を脱ぎ捨てていました。
想像してください。
10人分くらいの長靴が、普段から休憩所に上がるまえのところにバタバタに置いてある状況を。
今思うとおかしなことなんですが、当時はそれが普通でした。
- 休憩室に入るのが邪魔・みっともない、だから誰か片付けろと誰かを責める
- たまに底に穴があいている長靴も置きっぱなしで誰も管理できてない
- 使おうとした時に自分の長靴が無いことに気づき、誰かが盗ったのでは、と疑う
だからといって、たまにしか使わない長靴の為だけに何万円もする靴のロッカーを買うにしても、予算的にもスペース的にももったいない。
会議用テーブルの下のスペース
そこで苦肉の策で考えたのが、休憩所の横にある、小さな荷物を受ける為の会議用テーブルの下のスペースでした。
地面に白マジックで仕切りの線を書き、テーブルの縁に名前をテプラで貼ってみただけ。
「見える化」ってことになりますか?
これだけのことで休憩所前がスッキリして、誰の長靴が無いのか、とか、誰かが穴が開いて使えない長靴を捨てずにとっておくとかいったこともなくなってきました。
それでも長靴問題は続く・・・
これでしばらくは、長靴のことで人を責めたり疑ったりすることのない平和な日々が続いてました。
しかし、ある朝礼でこんなことを言う職人さんがいたのです。
「昨日、自分の長靴を使おうとしたら無かったので、仕方なく社長(ぼくの事ね、)の大きめの長靴をかりて作業したらサイズが合わなくて迷惑しました。
誰かわかりませんが人の長靴を勝手に使わないで私に一声かけてから使ってください」と。
ああそうか。ここまでやっても人間は、深層心理としてまず第一に人を疑ってしまうんだろうなあと感じずにはいられません。よっぽど作業上不便だったのでしょう。
ぼくだったら「だれも他人の長靴を履きたいとは思わない」とまず思うんですけど・・・(そしてぼくに「長靴貸して」という一声がなかったことは忘れよう・・・)
- もしかして誰かが「一緒に現場に行くし、ついでにあの人の長靴もトラックに乗せておくか!」という親切心で、いつもの場所に無かっただけなのかもしれないのに。
- もしかして工場をキレイにしよう!と掃除をしてくれた人がなんらかの間違いで長靴捨ててしまったり、不注意で別の場所においたのを忘れているだけかもしれないのに。
ぼくは少し性善説を信じる傾向にあるのかもしれません。
このように、また人を少しでも疑った事例があった以上、例えばやっぱり靴のロッカー購入が必要なのか?などの改善を重ねていこうと思います。
おさだ工業所は本当は雰囲気のいい職場なんです。
結局は上に書いたように、現場作業へ向かうトラックの荷台に、別の職人さんが親切心で載せておいただけでした。
こんなことを書くと、職場の空気が相当悪いんだろうな、とか、その職人さんはよっぽど性格が悪いんだろうな、と誤解されそうですが、そんなことはありません。
その職人さんは、休憩時にはダジャレを言って空気を和ますムードメーカーで、経験が長く、いつもまじめに作業してくれる方なんです。
おさだ工業所はひとつの方向に向かって一丸となって行動する、このような実直な社員ばかりで、実際そのおかげでお客様に支持され続けている会社です。
ぼくは過去、いろんな職種や職場を経験してきましたが、これだけ人財が揃っているのは今までになく、改めてこの会社の代表で良かったなーと思っています。
ぼくは少しでも人を責めようとしても、疑おうとしても、どうしてもできないような仕組みを作って行きたいだけなんです。
Teruyuki Kobayashi
最新記事 by Teruyuki Kobayashi (全て見る)
- 長田(おさだ)工業所 2018年のメディア出演・掲載・講演等メモ - 2018年12月18日
- 2017年のメディア出演・掲載・講演メモ - 2017年12月21日
- 2017年5月・6月・7月のメディア出演・掲載メモ - 2017年7月15日