中沢康彦「星野佳路と考える ファミリービジネスマネジメント」読書メモ
継続王に、おれはなる!0582
継ぐべきか、継がざるべきか。
ぼくは大学進学とともに実家を離れて以来、県外で、今とはまったく違う職種で働いていました。
そのまま一生その職業で生きていくんだろうなあとまで考えていたところ、ある転機があり、30歳直前で実家の鉄工所にもどり、修行を経た上、今では代表として二代目を継ぐこととなっております。
そんな自分以外の「継ぐ」「継がない」という経験を持つ経営者の話を聞くと、共感する部分もあったり、その業種独特の苦労があったりします。
この本は老舗旅館の4代目である星野氏が、何人かの事業継承された方々にインタビューする形式で進められています。
ファミリービジネスは家族と会社が重なり合う点に特徴があります。日本経済の大きな部分を占めますが、規模が小さく経営改革が遅れているケースが目立つため、そのメカニズムには未解明な点が多数あります。
星野リゾートの星野佳路氏は「ファミリービジネスの経営者」という強い自覚を持っています。星野氏がコーセー、ゼビオ、日本交通をはじめとした同じファミリービジネスの経営者と語り合うことなどを通じて、活性化に必要なメソッド、ノウハウを検証します。
ファミリービジネスの強み
・言ってみれば、駅伝のランナーの気持ちなのである。順位を上げるために全力で走るのだが、順位よりもたすきをつなぐことのほうを大切にしている。(中略)こうしたファミリービジネスならではの経営思想は日本経済の強さである
・製造業であれ、サービス業であれ、農業であれ、その他の分野であっても、地域がどこであっても、もしファミリービジネスとして継ぐことができるものがあるのならば、継ぐべきだし、継いでほしいと思う
・ファミリービジネスは、起業する時のサバイバルリスクを完璧にヘッジしている
・どうせ継ぐなら大きくすればいい。自分が誇りを持てる会社に変えればいい。
・後継者はもしかしたら(幼い時から私の跡継ぎです、と)「人に紹介される」ということを通じて、将来を意識していくのかもしれない
・大事なのは「後継者は遊んでいてはいけない」ということです
・家族は法事があるときは「集まらなければならない」とう意識になります。(中略)日本独自のファミリービジネスのノウハウだと思います。
・実は小さいころは一番苦手な質問が「将来何になりたいのか」でした。
・1次産業を、かっこよくて、感動があって、稼げるという3K産業にするというビジョンが出てきました。
実はぼくは現在の家業の修行中に「継ぐよりも自分で起業したい!」と一念発起し、親や周りの友人に相談したことがあります。
もちろん全員反対ということもあり、ぼくは起業をあきらめ、継ぐことを決めました。
なのでぼくの場合「継いだ」と言うよりは、言い換えれば「サバイバルするリスクをヘッジしている起業」をはじめたような感覚です。
Teruyuki Kobayashi
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