この空き缶は誰が放置した?ということは大騒ぎしなくていい
継続王に、おれはなる!0377
工場で働く従業員さんたちは、休憩中に缶コーヒーや缶ジュースなどを飲む機会が多いのではないでしょうか。
ある日工場のミーティングをするところで、机の上にちょっと中身が残っている缶コーヒーを発見しました。
その缶は昨日からずっと置いてあります。
あなたならどうしますか?

By: Emran Kassim
すすんで捨てましょう。
まず考えられる選択肢として大きく分けて2つあります。
- 誰が放置したのかを聞く
- 誰にも聞かないで捨てる
従業員10名未満の工場運営をしているぼくの正解は、②の「誰にも聞かないで捨てる」です。
犯人探しの理由とは
放置した人を探して「コーヒー残ってるけど、捨てておいていい?」と聞くのなら問題ないと思います。
それ以外に①の「誰が放置したのかを聞き回って大騒ぎをする」行為は何のためにするのでしょうか。
・空き缶を放置することは他人に迷惑をかけることである
・放置した犯人を捕まえて反省させなければならない
という意識がそこで働くのでしょう。
しかしこの考え方は非常に傲慢な考え方です。
中学生でもわかるような「空き缶なんて、捨てなくていいんだもーん」という間違った考え方の大人が身の回りにいるなんてぼくは信じられません。
「ストレス解消」になっていないか
ちょっとテーマは違いますが、ぼくの好きなプロブロガーのイケダハヤトさんが、今話題の偽造表示のことで、叩いている一般市民に対してこのような意見をしています。
【気持ちがいいから攻撃をしていないか?】
関係のない市民が変な正義感を背負って企業や個人を糾弾するのは、得てして「ストレス解消」であることも指摘しておきましょう。
明らかな落ち度のある人間を叩くというのは、非常に気持ちがいいことです。相手はぐうの音も出せず、頭を垂れて謝罪します。叩いた人間は、「わたしは正しいことをした」という快感に酔いしれます。
空き缶の所有者探しが、いつの間にかただの犯人探しや魔女狩りになっていたら要注意です。
犯人を探して、誰もが知っている常識である「ちゃんと自分で捨てよう」とあらためて諭すことは、自分が優越感に浸りたいからではないでしょうね?
缶の放置の理由
たいていの放置された空き缶は放置しようとしてそこに放置してるのではありません。
「誰かが捨ててくれるだろう」なんて思って置きっぱなしにしている社員(仲間)なんているはずがありません。
(※もしそんな人格に致命的な大人がいたら、また別の話です)
上司が置き忘れたのなら、お客様からクレームが入り、そのお客様の元に急ぐ為に缶をチョイ置きしたのでしょう。
部下が置き忘れたのなら、上司に急な仕事を頼まれてそちらを優先して缶の存在を忘れたのでしょう。
どちらにせよ、会社の急な変化やピンチに対応するために、優先順位を自分の所属している会社の動きにあわせてくれたとは考えられませんか?
結果、飲んでいた缶の処理が後回しになり、忘れてしまっていることが多いと思いませんか。
責任を持って仕組みを考える
その犯人探しをしている人はこの先100%空き缶を放置しないという自信があるのでしょうか。
ひとは誰でも空き缶に限らず、物を忘れます。そのことは覚えておかなければなりません。
ここでもう一文イケダハヤトさんの記事から。
【あなたにも責任はないのか?】
さらにいえば、偽装表示問題に関しては、市民であるぼくらも責任があることに留意すべきです。
偽装表示は、「高いものを安く手に入れたい」という、ぼくらが持っている消費者的願望がもたらした悪果です。
市民が欲望の起点にある以上、「企業が悪い!」と一概に批判するのは無知・盲目だと思ってしまいますね。
本当に「空き缶放置多発事件」に問題意識を持っているなら、責任を持って仕組みを生み出す努力をしましょう。
「なぜ空き缶を放置したのか」という理由を深く考えて、二度と放置されない仕組みを作っていくこと。
しかしそんな絶妙な仕組みはなかなか生まれるような簡単なものではありません。
それならば今のところは気持ちよく「おたがいさま」の精神で放置された缶を捨ててあげましょう。
空き缶を放置したのはどこかの知らない人ではく、あなたの周りの仲間なんですから。
Teruyuki Kobayashi
最新記事 by Teruyuki Kobayashi (全て見る)
- 長田(おさだ)工業所 2018年のメディア出演・掲載・講演等メモ - 2018年12月18日
- 2017年のメディア出演・掲載・講演メモ - 2017年12月21日
- 2017年5月・6月・7月のメディア出演・掲載メモ - 2017年7月15日