「がんばる」ほど「貧しく」なるジレンマから脱出する3つのポイント
継続王に、おれはなる!0409
昨日ブログに書きました、有名なデザイン会社nendoの佐藤オオキさんの本、「ウラからのぞけばオモテが見える」より。
デザイン事務所のジレンマ
物質的な結果としての形のない「デザイン」のアイデアについて、特にデザイン会社はこのようなジレンマをかかえていることは、なんとなく想像できます。
一般に、デザイン事務所がモノ作りの品質を重視しすぎると効率が悪くなり、収益率は悪化します。つまり、新しいことにチャレンジし、手間とコストをかければかけるほど、デザインフィーの割が合わなくなるのです。
逆にデザイナーの人数を増やし、アイデアやオリジナル性があまり介在しない「流れデザイン作業」を多くこなすことで、売上を簡単に伸ばすことができます。(中略)流れデザイン作業が多い分野ほどプレイヤー数が多く、経済的に潤っている事務所が多いようです。
この時代は様々なモノが多様に存在するなかで、デザインという仕事の結果に予算をさく考え方は少ないようです。
いいデザインを創ろうと時間をさいてもコストはかけられない、でも時間をかけないとありきたりのものになってしまう・・・
デザインオフィスnendoでは、このようなジレンマから脱する方法として、アイデアを形にするまでの3つのポイントを掲げています。
①アイデアを実現するための環境や状況を「耕す」作業
②アイデアをクライアントとともに「育てる」作業
③アイデアを実現するために「収穫する」作業
①「耕す」
クライアントの求む期待のデザインに近づけるため、事前のオリエンテーションに時間をかけることです。
その内容は、
・会社の歴史と現状
・今後の方向性
・手がける商品の位置づけ
・ターゲット
・短期的な目標
・長期的なビジョン
・売り場の環境
・競合商品の動向
・ユーザーの期待
・過去の成功体験・・・etc.
このような情報が多いほどクライアントの期待が炙りだされます。
お互いに一つのイメージが共有され、失敗が少なくなります。
クライアントが同じデザイナーと長く付き合うことで失敗の可能性が下がるといった事実があります。
そういった事実をみると、こういった共通の理解がどれほど重要かがわかります。
②「育てる」
クライアントへの提案として、この2つのことにnendoは力をいれています。
1・「70点」のアイデアをたくさん見つける。
2・クライアントの期待を超えるプレゼン資料を「3倍速」でまとめる。
プロである以上、大きなカケをして安定感を無くすよりも、バットを短く持って「失敗しないこと」に重点を置きます。
③「収穫する」
種が無事に育つと、最後は収穫しなければなりません。デザインは団体競技です。自分1人では何一つ実現できません。
クライアント、協力会社、オフィス内のデザイナー陣とマネジメントスタッフが一枚岩になって初めてアイデアを形に出来るため、このフェーズにおける相互のコミュニケーションと連携は不可欠です。
材料が揃ったら、あとは会社全体で取り組む姿勢が大事です。
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この3つの考え方によって、アイデアという小さくて曖昧で形のないタネを、安定してプロジェクトを成功に導いているようです。
ぼくが思うに、上記の3つのなかで一番重要なのは、1のクライアントとの共通の理解を深めることに思います。
考え方を広げればこの状況はデザイン業界だけでなく、鉄工所などのモノづくり業界にも当てはまりますね。
Teruyuki Kobayashi
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