溶接テーマパークの人のブログ

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井川意高「熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」読書メモ

   


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継続王に、おれはなる!0444

エリエールで有名な大王製紙の前会長、井川 意高氏が2011年の年末に、ギャンブルがきっかけで会社法違反(特別背任)の容疑で逮捕されたことは記憶に新しいと思います。

井川氏は大王製紙創業家3代目であり、規模は全く違いますが、創業家2代目のぼくが共感する内容もありました。

結果的にギャンブルで多くの人々に迷惑をかけたことは取り返しがつかないバカなことですが、それ以外の経営者としての側面としては、割りきって見習わなければならない部分がありました。

経営者としては優秀

・「ウチはユニ・チャームにはかなわないですよ。(中略)『パンパース』のブランド力など、我々にはとても及ばないですから・・・」(部下は)最初から負け犬根性にとらわれていたのだ。

・経営者にとって、会社がつぶれるという事態は自分自身の破綻を意味するだけではない。何百人、何千人という従業員、さらにはその家族までも路頭に迷わせてしまうことになる。

・「ボンボンのあいつは無謀で世間知らずなことをやって、やはり失敗した」そう言わせないために、新商品発売に向けて心血を注いだ

・「一生懸命やったからいいじゃないですか」で乗りきれるなら、ビジネスではなくなってしまう。

・(サービス残業をなくしたこと)就業時間外の時間を使ってまで、意味があるのかわからない「サービス」など社員にしてほしくなかった。

・のちに私が東京地検特捜部に逮捕されてから、大王製紙からも多くの人間が取り調べに応じている。5000ページにも及ぶ検察調書を読むと、仕事のやり方について私の悪口を言っていた社員はいない。(中略)「井川さん、あなたは仕事はできる人だったんですね」特捜検察官からも、苦笑交じりにそんな皮肉を言われ、複雑な気持ちになったものだ。

・「工場の機械を全部使ってフル生産する」というのが、右肩上がりの時代に生きた父の基本的な方針だから、思い切った人員整理をやりたい私とは考え方が真っ向から対立した。

・(会議では)日本人が使いがちな「徹底的に」「とことん」といった情緒的な言葉も要注意だった。(中略)私はいつも「5W1H」ならぬ「5W2H」を心がけていた。

・(父の言葉)「(社員が)大過なく過ごされてたまるか!公務員なら大過がなくてもかまわんが、民間企業で大過がないことを第一の優先事項にされてはかなわない。『波瀾万丈の会社生活をまっとうできました』と挨拶する人間こそありがたいのだ」

・「いいから2人置くんだ。1人ではどんな人間だって競争意識が湧かない。0か2以上だ」

 

 

このような従業員8000名の大会社のトップの方の、普段の仕事内容・社交界との付き合いなどが細かく書かれている本は少ないのではないでしょうか。

この本を読んで、自分の経営者としての視野が広がりました。

よく2代目、3代目が会社を潰すという声を聞きますが、一番気をつけることは「会社のお金を自分のお金と勘違いしないこと」なのでしょう。

経営者なら読んでおいて損のない、そして読みやすい一冊です。

 


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@terukobayashi 小林輝之 ●溶接士免許から調理師免許まで幅広い経験をもつ福井県坂井市春江町の㈱長田(おさだ)工業所代表。 ●金属加工のワクワクを一般の方にも知ってもらいたいため、溶接キャラのLINEスタンプを作ったり、溶接工場をテーマパークにするプロジェクトを進めていたり、インテリアブランド立ち上げにとりかかっていたりしています。 Apple/読書/出版/経営/モノづくり/Amazon/ラーメンetc...

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