(仮想出版)ゼロから始める2代目社長力(第一章:創業社長を尊敬する)
2016/07/16
継続王に、おれはなる!0511
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第一章:創業社長を尊敬する
世代交代のいきさつ
ぼくは今38歳ですが、20代のとき、今の鉄工所の仕事とは真逆の、飲食店の店長を務めていました。その頃はとにかく働きたい!といった思いがあり、大学を中退してまで当時アルバイトしていた飲食グループの会社に転がり込んだものでした。
その後、何店舗かを任されるエリアマネージャーになったところで実家の経営する鉄工所の創業社長である父親に「30歳を過ぎると技術が身に付きづらくなるぞ」といった、「実家に戻ってくるなら今しかないぞ最終通告」があったのです。
小さい頃から「実家を継がないといけない」と言われた覚えはなく、自分の道は自分で歩け!ということなんだろうなあと思いながら、このまま将来自分の店を持つぜ!とうっすら未来予想が出来るくらい店舗経営には自信を持っていました。
結果的には「やっぱり長男であるぼくが今まで実家の鉄工所を支えてきてくれた従業員を後継者不足で将来路頭に迷わせてはいけない」との思いから実家に戻り、一から溶接技術や機械据付の修行が始まりました。
修行を始めてひととおりの資格を取り、経験を経て、今から二年前に社長を交代することとなりました。
なぜこの時期の交代なのか
こんな不景気な時期に交代した理由はいろいろありますが、父親が今の鉄工所を立ち上げた歳である36歳という年齢にぼくがなったことが大きいかと思います。
親としてはすべてが恵まれた状況で引き継がせてあげたいでしょうが、そんな100点満点の状況なんてこれからもないでしょうし、逆に厳しい世の中に放り込んだ方がぼくのためになるからです。
ぼくは子どもだった
就任当初、ぼくはなにをやってもぎごちなく、極端に言えば会長になった先代社長である父とのケンカの毎日でした。
「あなたがそんな頑固な性格だからこんな会社になる」
「ぼくだったら(過去の店舗経営の経験を生かして)こうする」
今思えば自分が子ども過ぎたのですが、ある時を境に、気付いたことがありました。
「ぼくがもし今貯金が一銭もなく、実家の土地と小さな母屋だけの状況で事業を始めて、20年後にこんな大きな工場や設備を揃え、これだけの職人さんを雇うような経営ができるだろうか?」
そう思うと、今までイライラしていた父親のその「頑固さ」があったからこそ、時代がどうであれ、これだけの会社を築き上げることができたんだ!ということに気付いたのです。
「無」から「有」を創る難しさ
「イチ」を「100」にするよりも「ゼロ」を「イチ」にする方が断然難しい・・・(何かの本に書いてあるフレーズっぽいですが)
「無」から「有」を築いた功績に気付いてから、父親を尊敬するようになり、そこからぼくの経営も変わったように思えます。
お互い人間なんだから良い部分もあれば悪い部分もあります。
悪い部分と思っていていた「頑固」な面も裏を返せば「こだわり」という良い面にもなり、それが今の会社を創った源かもしれないのです。
スペースシャトルでいうところの創業社長は第一エンジン、2代目社長は第二エンジン。
お互いそれぞれの存在価値があるんです。
(こう言うと、「じゃあ使用済み第一エンジンは海に捨てられるんだなw」と言われますけどw)
「創業社長を尊敬する」こと。これが、わかっていても難しい。
でもこれから先代から事業継承され、ゼロから経営者をやっていく際に一番最初に必要なことなんです。
—–【第一章:創業社長を尊敬する おわり】—–
第二章:自分の立ち位置を確認する に続く
目次
はじめに
第一章:創業社長を尊敬する
第二章:自分の立ち位置を確認する
第三章:社長は作業はしない
第四章:運がない人なんていない
第五章:情報の出し手側に立つ
第六章:2代目社長を楽しむ
おわりに
Teruyuki Kobayashi
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