(仮想出版)ゼロから始める2代目社長力(第三章:社長は作業はしない)
2016/07/16
継続王に、おれはなる!0518
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第三章:社長は作業はしない
その作業は社長しかできない?
「小規模企業は社長も仕事しないとやっていけないよ!!」
・・・よく父親をはじめ、まわりからこう言われます。
でも社長の仕事は「作業」ではありません!
もし社長であるぼくが「作業」しなければいけない時間があっても、その作業は本当に永続的に社長自身じゃないとダメなのか?この作業は必要か?この作業は価値として顧客に届いているか?を考えながら作業しています。
これって作業ではなく、マーケティングの一貫です。
「誰か」が考えてくれる?
ぼくが社長を継いだころは、職人さんが5人で、社長であるぼくが1人、合わせて6人で工場運営と現場工事をやっていました。
職人さんは年上ばかり。ぼくはその職人さんよりも経験がありませんでした・・・
なので社長だからといって日々の作業を怠るわけにはいきませんでした。
日々の作業もやりながら事務作業、銀行さんとの対応等もやっていました。
そんなことをやっていると、毎日が忙しいのですが、社長ってなんだろう?と思うようになってきました。
毎日の作業で「おかしいなあ、こうすればもっと効率よくできるのになあ」と思ったり。
根本的にこのまま流れに任せて仕事を受注するよりも、もっと利益率が高い事業があるのでは?と思ったり。
そういうことを集中して考えてやってくれる「誰か」がいればいいのになあとか思ってました。
いや違う!そういう根本的なことを集中して考えていく「誰か」というのが社長であり、社長の仕事の優先順位1位だ!と気付いたのです。
作業には限界がある
目の前の作業をして、自分1人がどれだけ要領がよく腕の良い職人さんとしても平均して日当30,000円くらいでしょうか。
自分が一人親方で、365日機械のように仕事をしても壊れない体ならそのほうが良さそうです。
でもぼくを合わせて6人のチームという前提なら要領のあまりよくない人も混ざってるとして平均して一人15000円くらいとします。
じゃあぼくを合わせて6人なので×15,000円で一日90,000円の売上(粗利)。
それくらいならぼくが作業を抜けて、他の5人が作業しやすい環境を作ってあげることで90,000円の売上どころか100,000円、200,000円でも売り上げられる仕組みを作っていこう!と思うようになりました。
価値は伝わってる?
ぼくが社長業に集中して、ちゃんと顧客に価値を届けることで、利益がもっと出るような仕組みを作ったほうが、先が明るく思えました。
利益が少ないということは、そもそもいつも当たり前のように受注している仕事自体に価値が少ないのでは?
今の工場や設備、社員という資産を使ってもっと大きな価値を生み出すことができるのでは?
また、社長が作業をしていることでお客様や取引業者さんたちから「余力のない会社」と判断されることはないだろうか?
そんな考えから、ぼくはある時、作業着からスーツへと戦闘服を変えました。
まずは、ぼくは他の職人さんたちがもっと作業しやすい環境を整えるために、金銭で全面バックアップする役割の人、のような感じの立ち位置からはじめていきました。
経営は航海をすること
会社って、大海原に浮かぶ船だと思っています。
今までは6人でみんなで一生懸命オールを漕いでがむしゃらに昼夜問わず、先の見えない島へ向かっていたように思います。
代表である自分も一緒になって肉体的に汗を流していると、それは爽快です。
でも、ふと顔を上げたら「あれ?ここどこ?」って現在地がわからなくなったり、気づくと浅瀬に乗り上げているようなリスクを察知しづらいでしょう。
なので、ぼくはオールを漕ぐことをやめて、こんな役回りに集中しました。
・航海図を確認すること
・もっと効率のいいオールに買い換えること
・乗組員を増やす時期を見極め育てること
・他の船と連携をとること
・船の大きさを変えること
・ヘリコプターに乗り換えること
・根本的に目指す島を変えること
一生懸命オールを漕ぐことと同じように大事な「決める」ことに集中する役目を選びました。
事務作業ですら作業であり、また行動に移す際の作業はぼくじゃなくてもできます。
でも「決める」ことはぼくにしかできません。
社長は「決める」ことから逃げない
「決める」ことに集中すると、作業を優先していた頃には見えなかった「決定しなければならなかった事項」が一日に何十、何百もあったことに気づきました。
今までは、ぼくが「決める」ことを後回しにして作業ばかりしていたから、毎日毎日6人で小さな世界でひーこらひーこらいってたのです。
後ろ向きなひーこらではなく、毎日がやりがいのある、未来の見えるひーこらへ。
一生懸命作業をしている社員が、ちゃんと報われるような会社にすることがぼくの仕事です。
おさだ工業所が生み出す価値が、ちゃんと顧客に届くようにするのがぼくの仕事です。
—–【第三章:社長は作業はしない おわり】—–
第四章:運がない人なんていない に続く
目次
はじめに
第一章:創業社長を尊敬する
第二章:自分の立ち位置を確認する
第三章:社長は作業はしない
第四章:運がない人なんていない
第五章:情報の出し手側に立つ
第六章:2代目社長を楽しむ
おわりに
Teruyuki Kobayashi
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