今当たり前のようにしている仕事がなくなる日
2013/06/18
継続王に、おれはなる!0228
これは事件です!
またひとつ金物加工の仕事がなくなりました。
パナソニック、家電量産に3Dプリンター活用―部品の金型、短期で製造|日本経済新聞
弊社おさだ工業所は、この記事に関連したような金型製作(金属の固まりを工作機械で削って作る仕事)は専門外なんですが、同じ金属を扱う業種としてはほっとけません。
いったい鉄工所の未来はどうなるのでしょうか。
3Dプリンターと従来の製作方法の埋められない差
記事によると、このようなことが書いてあります。
従来の金型製作は
様々な工作機械で金属を削ったり磨いたりして作っている。
高い精度と強度が求められるために熟練技能も必要で、通常は製作に少なくとも1カ月程度かかる。
新製品を開発するたびに新しい金型が必要なため、製造業大手では金型の費用が年数百億円程度になっている。
対して3Dプリンターは
金型の製作期間を半分に短縮して費用も減らし、
樹脂部品のコストを削減する。
以上のように、残念ながら3Dプリンターの圧勝です。
少し前の、円安が進んでイカ釣り漁船の経営が立ち行かない状況以上の惨劇です。
金型製作の仕事は、円の上下で一喜一憂する次元の話ではなく、一瞬にして職が奪われました。
「未来の働き方を考えよう」から抜粋
今読んでいる本、「未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる」(ちきりん著)は、これからの激変の時代にどう働き方を合わせていくかという内容です。
この本にはこう書かれています。
いまや難関資格さえ取れば、一生食べるに困らないという考えは通用しません。(中略)医療や介護関係の仕事をしている人が職探しに困らないのは、彼らが資格を持っているからではなく、労働市場において供給を大きく超える需要があるからです。大事なのは「資格の有無」ではなく「市場ニーズの有無」なのです。
弁護士や会計士といえど、厳しい就職難に見舞われているような現在、この仕事なら安泰!という職種はありません。
これからの時代、右肩下がりは必然
加えて、薄々感じてはいましたが、かつてのバブル期のような奇跡のフィーバータイムがこれから起こることは考えづらいようです。
例えば日本の20代・30代の総人口の推移のグラフが2000年を境に今後50年で約半分となることや、1989年12月29日移行の日経平均株価の推移を見ても、政治がどうとか教育がどうとかで逆転ホームランを狙うような段階の話は、もう手遅れのようにも感じます。
・・・冒頭の金型加工や鉄工所の話どころの騒ぎではなくなってきております。
結局どんな学者でも偉い人でも正解はわからない
過去の右肩上がりの時代で成功した経験や、失敗した経験は、これからも通用するでしょうか。
それは誰にもわかりません。
今後50年間の右肩下がりの時代に生きた人は世の中に存在しないためです。
「わかっていることは、今後人口は減少し、対して高齢化社会が進むことです。」
といった、だれもがわかっていることに手を出すことはしだいに「供給過多」となり、単価は下がります。
このような結果も「失敗」につながることかもしれません。
つまり、何が正解なのかは結局は誰にもわからないんです。
チャレンジに結果的に失敗した人に対して「ほらみたことか」と、後出しジャンケンのように思う人は多いように思いますが。
大事なことは、「自分を信じること」
もはや「仕事があるかないか」の段階ではなく、どちらに転んでも結局は自分が後悔しない人生を送れるかどうかといった考え方に注目していく段階のようです。
「金型加工の仕事がなくなる、じゃあ次はこうしよう。」
「もしかして鉄工所の仕事が薄くなる、じゃあ今のうちにこうしよう。」
他人の意見や新聞記事、セミナーや本の内容などは、これからの働き方を決める一つの参考という位置づけとして、最後は自分が道を決めることが大事です。
「こうしよう」と決断したことで成功しても失敗しても、「誰々に言われたから」ではなく「自分が選んだから」と言える人生を送りたいものです。
「未来の働き方を考えよう」は2013年ビジネス書大賞に選ばれた「ワーク・シフト」(リンダ・グラットン著)に代表される、今流行りの「働き方本」のような内容です。著名な書評家の意見では高評価です。いろいろ納得させられました。
Teruyuki Kobayashi
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