矢野和男「データの見えざる手」読書メモ
0827
どれだけ優秀な人でも、人間の活動には限界があるんですね。
これまでは経験則などで語られていた人間特有の行動が、データに基づいて明らかになっていくのでしょう。
ウェアラブルセンサを使い、のべ100万人日以上の被験者の身体活動や位置情報などの行動データを取って人間の「法則」や「方程式」があきらかになっていく可能性を示唆した一冊です。
マシンでできること、マシンではできないことを知る
・(ToDoリストで一日のやりたいことをやりきろうとしても)科学的な法則により、時間の使い方はあなたの自由にはならないのだ
・多数の(ランダムな)やりとりがあると、確たる原因がなくとも特徴的な偏りが生まれる。資源の分配が偏るのは、決して能力や努力によるものでなく「やりとりの繰り返し」による統計的な力であることを忘れてはならない
・この「(やりとりの)繰り返しの力」を背景にした「資源配分の偏り」こそが、幅広い人間行動や社会現象を説明するのである。これを理論化したのがU分布である。
・(「意思」や「好み」や「情」できまると思われている)人の行動も(エネルギーのやりとりで行われている宇宙のあらゆる変化と同じように)特別ではない。
・帯域ごとの活動予算を知ってすべての帯域を使いきる
・なんとなくそれ以上続けるのは気が進まなくなる(中略)そのときは、実は、活動予算を使い果たしていたのかもしれない
・人間の活動は、まさに熱機関と同じ制約下にあることがわかった(カルノー効率)
・「行動の結果が成功したか」ではなく「行動を積極的に起こしたか」がハピネスを決める
・「会話時に頻繁によく動く」のは、「積極的に問題解決する人」に共通の特徴
・社員の身体運動の連鎖による活発度上昇⇒社員のハピネス・社員満足の向上⇒高い生産性。高い収益性、という因果関係が成り立っているといえる。
・(営業等で)最後に会ってからの時間(期間)が長くなると、ますます会いにくくなる(面会確率が下がる)ことが明らかになった。そして、それはきれいな反比例の法則に従うのである。これを「1/Tの法則」と呼ぼう。
・主観的概念だったものを客観的に数値化すること
・仕事や生活に楽しさや充実感を得ている人は、身体運動の継続性が高いことが明らかになった
・会話の品質は重要であるが、我々のウェアラブルセンサを使えばこの「建設」的な会話になっているかどうかを計測可能である
・「運こそ実力そのもの」
・学習するマシンは、問題を設定することはできない(中略)関わるデータがすでに大量にある問題しか適用できない(中略)結果に責任を取らない。(中略)このような(マシンでもできるような仕事をこれまでやってきた人は、できるだけ早く問題を作る側の仕事に軸足を移すべきであろう。
・(今後はホウレンソウに加え)「マツタケ(巻き込み、つながり、助け合い)」が必要
例えば「従業員満足度」が高い会社はもうかっている、といったような、今までだったら経験則でしかなかったようなことが、これからのビッグデータの分析を通して明らかになっていくのでしょうね。
Teruyuki Kobayashi
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