溶接テーマパークの人のブログ

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コミックで説明。溶接の順序を変えたら違う形になってしまう理由

   


この記事の所要時間: 25

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溶接を生業とされているかたには当たり前の事実なんですが、一般のかたには何を言っているのかわからないようです。

同じものを作っても、溶接をする人のスピードや溶接をする順序が違うと、全体が若干違う形になってしまいます。

 

溶接をすると、金属は変形する!

どうやってわかりやすく一般のかたに説明しようか考えたところ、日本溶接協会のホームページの中のコミックを引用させていただこうと思いました。
一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センター

 

 

 

知る人ぞ知る「浪速博士の溶接がってん!R」です!

タッチは親しみやすいのですが、内容は実は激ムズなので、ポイントとなるところだけ抜粋します。

上記の説明のように、溶接の順序で溶接加工品の形が変わってしまう理由は、わかりやすくいうと下記のような金属のひずみが原因です。

①金属に熱を加える(溶接する)と、金属は熱膨張する
②その後、室温に冷めると膨張したところが収縮しようとする
③最初の金属の形よりも若干小さくなる

金属に熱を加えれば加えるほど、じつは金属は形を変えて(収縮して)いくんです。

例えば5mくらいの長さの材料の途中にいくつも溶接し、時間が経って収縮がおさまると、最初の長さよりも5ミリ短くなっていることもあります。

熟練の職人さんは、そのひずみを計算して金属の材料を組んでいます。

 

基本は「仮付け」

熱を加えれば加えるほどひずみが大きくなります。

ですので、下記の説明のように、熱をあまりかけない「仮付け」で拘束して形に組んだあと、最終的に本溶接をしていくのが基本です。

また、同じ形の溶接加工品をつくるために、こういったポイントがあります。

・なるべく同じ職人さんの手で溶接を行う
・本溶接の順番を同じにする
・熱が一気にかからないような溶接の順序で行う
・溶接の肉の太さを一定にする
・逆ひずみをかけて溶接する

まだまだありますが、これくらいは最低限知っておくといいでしょう。

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例えば同じ溶接加工品なのに、こっちの鉄工所の作るものと、あちらの鉄工所の作るものが違う、ということがあるとすれば、こういった「熱ひずみ」といった理由がひとつあることを知っておいて下さい。

 


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@terukobayashi 小林輝之 ●溶接士免許から調理師免許まで幅広い経験をもつ福井県坂井市春江町の㈱長田(おさだ)工業所代表。 ●金属加工のワクワクを一般の方にも知ってもらいたいため、溶接キャラのLINEスタンプを作ったり、溶接工場をテーマパークにするプロジェクトを進めていたり、インテリアブランド立ち上げにとりかかっていたりしています。 Apple/読書/出版/経営/モノづくり/Amazon/ラーメンetc...

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