コミックで説明。溶接の順序を変えたら違う形になってしまう理由
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溶接を生業とされているかたには当たり前の事実なんですが、一般のかたには何を言っているのかわからないようです。
同じものを作っても、溶接をする人のスピードや溶接をする順序が違うと、全体が若干違う形になってしまいます。
溶接をすると、金属は変形する!
どうやってわかりやすく一般のかたに説明しようか考えたところ、日本溶接協会のホームページの中のコミックを引用させていただこうと思いました。
一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センター
知る人ぞ知る「浪速博士の溶接がってん!R」です!
タッチは親しみやすいのですが、内容は実は激ムズなので、ポイントとなるところだけ抜粋します。
上記の説明のように、溶接の順序で溶接加工品の形が変わってしまう理由は、わかりやすくいうと下記のような金属のひずみが原因です。
①金属に熱を加える(溶接する)と、金属は熱膨張する
②その後、室温に冷めると膨張したところが収縮しようとする
③最初の金属の形よりも若干小さくなる
金属に熱を加えれば加えるほど、じつは金属は形を変えて(収縮して)いくんです。
例えば5mくらいの長さの材料の途中にいくつも溶接し、時間が経って収縮がおさまると、最初の長さよりも5ミリ短くなっていることもあります。
熟練の職人さんは、そのひずみを計算して金属の材料を組んでいます。
基本は「仮付け」
熱を加えれば加えるほどひずみが大きくなります。
ですので、下記の説明のように、熱をあまりかけない「仮付け」で拘束して形に組んだあと、最終的に本溶接をしていくのが基本です。
また、同じ形の溶接加工品をつくるために、こういったポイントがあります。
・なるべく同じ職人さんの手で溶接を行う
・本溶接の順番を同じにする
・熱が一気にかからないような溶接の順序で行う
・溶接の肉の太さを一定にする
・逆ひずみをかけて溶接する
まだまだありますが、これくらいは最低限知っておくといいでしょう。
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例えば同じ溶接加工品なのに、こっちの鉄工所の作るものと、あちらの鉄工所の作るものが違う、ということがあるとすれば、こういった「熱ひずみ」といった理由がひとつあることを知っておいて下さい。
Teruyuki Kobayashi
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